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PTSD(心的外傷後ストレス障害)の10の特徴と虐待と依存症の関係性

更新日:2021年6月9日

虐待による深刻な心のダメージは、依存症や様々な心の問題につながっていきます。

虐待によるPTSD、そして依存症の関係性について解説したいと思います。



1.切り離し


切り離しとは、現実と自身の感覚を切り離すことで、感情を遮断することを指しています。虐待を受けている最中に、頭の中で空想を描くことや、別なことを思い浮かべることを通じて、自分が今受けている過酷な現実を切り離し、感情を遮断することで、心を守ろうとする防御反応であるともいえます。この逃避能力を身に着くことで、感情の切り離しが常態化してしまうと、空想による依存症や解離性障害を引き起こすと言われています。


2.フラッシュバック


フラッシュバックとは、いわゆる「時間差攻撃」です。過去に危機的な状況下で大きなトラウマを受けた際に、脳が「いまこのトラウマによるダメージを直で受けてしまうと心が壊れてしまう」と認識し、感情を一時的に凍らせることがあります。安全が確保された後、この凍った過去の出来事による感情を溶かすことで、フラッシュバックが発生します。フラッシュバックが起きると、実際には過去の出来事であるにも関わらず、今起きたことのように錯覚してしまうような鮮明な記憶と感情に支配され、錯乱してしまいます。

3.混乱


トラウマを連想させる状況に遭遇した時に、心身ともに「凍り付いた」状態に陥ってしまうことがあります。例えば、虐待を受けていた場所に似た個室に案内されて拒否反応を示してしまったり、虐待の際に叩かれていた道具を見て混乱してしまったりするなどの症状が現れることがあります。こうしたトラウマを連想させる状況は、虐待を思い出させるトリガーになってしまっているため、トリガーに触れるたびに何度も混乱を繰り返してしまうことになります。

4.不安障害


虐待被害者は、虐待のトラウマによる過去の不安と、またいつ被害に遭うかわからないという未来に対する不安の両方を常に抱えることになります。こうした不安は本人にとっては、原因がはっきりしない漠然とした不安として認識されていることが多く、不安と常に戦っている状態に陥ってしまっています。こうした不安が不眠や抑うつ状態、神経過敏など、さまざまな症状として表れることがあります。

5.誇大な不信感


特に親からの虐待などにみられるケースですが、虐待被害者が加害者に対して愛情や忠誠心を抱いていることがあります。ひどいことをされているけれど、愛情や尊敬の念も捨てきれずにいる状態です。こうした矛盾を抱えたままでいると、虐待被害者は配偶者やパートナー、友人に対して、根拠のない不信感を抱いてしまうことがあります。こうした根拠のない他人への不信感が、行為や物質に頼ろうとする行動につながり、習慣化すると依存症に陥ってしまうことになります。

6.虐待に関連した感情と性を結びつける


性的興奮に対して早熟であった場合、虐待を受けていた時に感じた不安・孤独感・傷つきやすさ・貧しさなどのネガティブな感情が、大人になってから性的な行動と結びついてしまい、虐待被害者の性行動に多大な影響を及ぼすと言われています。売春依存や、サディズム・マゾヒズム依存、誰でもいいからセックスしていたいといったセックス依存などがこれにあたります。

7.痛みに対する忍耐


虐待被害者は、自責の念あるいはトラウマの再体験による自傷行為に走ることがあります。リストカットや根性焼き、過剰なタトゥー・ピアッシング、抜毛症や爪かみ、皮膚むしりなど、自傷の方法は様々です。自傷に至る要因として、自分の記憶の中で何度も自分を責めることで、自分を罰するために自傷をしてしまい、定着してしまうことが挙げられます。自分を罰する自傷衝動を目的としたセックスに依存しているような性依存症の場合、依存が深刻化することが多いと言われています。


また、この自傷の痛みと性的興奮が結びつくと、むち打ちや首絞めなど、痛みが快楽を高めるようになっていき、自傷とセックスの両方に対して依存に拍車をかけていくことになります。

8.完璧主義


虐待被害者は、何かしらの失敗を理由に虐待されたりしてきた経験があるため、失敗することを極端に恐れています。そのため、失敗を回避するような行動をとるようになります。こうした回避行動は、強迫的な完璧主義であるともいえます。「完璧でなければならない」という思考は、依存症に陥りやすい考え方の一つです。

9.他人を頼ることを回避する


虐待被害者は、本来自分を守ってくれるはずの存在から虐待されていたこと、さらに虐待を受けている時は誰にも助けを求められなかったことから、他人の愛情を信用する機会を奪われて成長してしまったといえます。そのため、他人を全く信用していないようなふるまいを見せることがあります。他人を頼ることへの強い恐れが、他人を信用しない態度として表出していると言えます。


10.有毒な恥


虐待被害者は、自分が受けた扱いに対して理由をつけて自分を納得させようとします。そのため被害者に全く落ち度がないはずなのに、自分は無価値で、モラルに反していて、破壊的で罪深い人間だと思い込んでいる傾向があります。虐待は力づくで他者を従わせ、その上虐待の事実を秘密にすることを強いることで、「虐待を受けるのは自分が悪いせいだ」といった有毒な恥を子供に対して植え付けます。こうした有毒な恥で自己認識が埋め尽くされてしまうと、自分には価値がないと思い込み、自己破壊的な行動をとるようになり、依存症に陥りやすくなってしまいます。



いかがでしょうか。


noteで簡潔にまとめたものを公開していましたが、性依存症当事者だけでなく、トラウマを抱えている多くの人に届いてほしいと思いながら、より詳しく書き直してみました。

虐待を受けた当事者は、虐待を受けた事実を自分の中に閉じ込め、自分が悪かったせいだ、と自分を責めてしまうことで、さらに苦しみに囚われてしまいます。


あなたは悪くない。そして、この苦しさから抜け出す方法はきっとあると思っています。

苦しい過去を生き抜いたあなたに、心から敬意を表します。

そして、これからのあなたの人生が、温かく穏やかなもので満ち溢れていくことを、ここから祈っています。

参考文献:Don't Call It Love: Recovery from Sexual Addiction By: Patrick Carnes


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