性依存症の治療は禁欲にあらず。

先ほど紹介したGriffiths(2001)の論文で、もう一つ注目したい点があって別な記事にしました。それは、この論文発表した段階において、サイバーセックス性依存症の明確な治療法が確立していないという点と、性依存症の治療法もはっきりと確立しているわけではないという点です。



出典 Griffiths, M. (2001). Sex on the Internet: Observations and Implications for Internet Sex Addiction. The Journal of Sex Research, Nov., 2001, Vol. 38, No. 4 (Nov., 2001), pp. 333-342 Published by: Taylor & Francis, Ltd. https://www.jstor.org/stable/3813457


現状の依存症の治療の原点は、アルコール依存症の治療にあり

現状の依存症治療と言えば、物質依存である薬物依存やアルコール依存のように、「依存対象を徹底的に排除し、今後の人生では関わらない」ことが主流です。

これは行為依存であるギャンブル依存症、クレプトマニアなどにもあてはまるとは思いますが、一部の行為依存にはそのままあてはめることは難しいのです。


例えば、摂食障害だからといって、一生禁食するわけにはいきません。

買い物依存症だからといって、一生自給自足の生活をするのも、現実的とは言えないでしょう。

それと同じで、子供を持つというライフイベントのために必要不可欠な行為であり、自然な生理的欲求でもある性行為を、性依存だから一生禁欲するというのは、不自然であるし、禁欲に挑戦して無理だったからこそ性依存症になってしまったんだから、そもそも治療が間違っていると私は思っています。


摂食障害や買い物依存症などの治療では、新しい食事の方法を習いなおしたり、買い物の工夫の仕方などを一緒に考えたりなど、新たなプログラムが開発されています。

しかしながら、性依存症の回復の現状はアルコール依存症と同様の方法で、一切の禁欲を強いたりすることも多く、またそれに対して新しい回復プログラムを考えていこうという動きも見られません。


性依存症にとっての「新しい性の見つけ方」とは?

これから課題になってくるのは、「性依存症当事者がいかにして新しい性生活を手に入れていくか」だと思います。もちろん、回復のためには限定的な禁欲は必要不可欠であると思うのですが、その先に「人間として当然の営みである性的行動」とどう向き合っていくかを、当事者と治療者が一緒にプログラムに取り組んでいく必要があると思うのです。


禁欲だけで性依存が治らないから、みんなどんどん悪化していくというのに。


まだ勉強が浅いため、これからまた新たな論文をチェックして、性依存症に対する治療法の新しいエビデンスが出てきたら、ブログで紹介できたらいいなと思っています。

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